チョコボール統計

チョコボールの秘密を統計解析で明らかにしていく。おもちゃのカンヅメ欲しい。

チョコボールの味毎の重量傾向を調べる

概要

  • これまでの調査から、チョコボールの重量は表示の値よりも1.5g程度多いことがわかっている
  • しかし、最近発売の季節限定のチョコボールは重量傾向が異なるように見える
  • 平均値の分布がどの程度異なるのか分析したところ、日本で発売の従来製品と比較して傾向が異なることが明らかになった

上段左から、ピーナツ、いちご、甘酒(2017年末〜2018年初め)、パチパチ(2018年初夏)。 下段左から、チョコバナナ(2018年冬)、ミルクキャラメル(ファミマ限定)、パイナップル(ハワイ、グアム限定)。

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目次

はじめに

以前、グアムで購入した「パイナップル味」が、日本で発売されているチョコボールと重量傾向が異なるとの記事を書きました(下記)。

chocolate-ball.hatenablog.com

これまでの調査では、 季節限定品を含めて、 日本で発売しているチョコボールは表示上の内容量よりも、 平均値が約1.5g程度多く封入されていることがわかってきています。

しかし、現在発売中のミルクキャラメル味は、これまでの傾向と大きく異なりそうなことが見えてきました(下記記事参照)。 chocolate-ball.hatenablog.com

そこで今回は、平均重量をベイズ推定し、平均がどの程度異なるのかを分析します。

驚きの結果が明らかに!!

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データ概要

データの概要を以下に示します。
上記の記事( 日本のチョコボールとチョコボール Hawaii(グアム) の傾向の差を調べる)で分析した味に加えて、 最近発売中の季節限定品(ミルクキャラメル味、チョコバナナ味)を分析対象とします。

内容量(仕様) 価格 開封 外観
ピーナッツ 28g 約80円 301 f:id:hippy-hikky:20181009234317j:plain:w130
いちご 25g 約80円 14 f:id:hippy-hikky:20181009234418j:plain:w130
甘酒 22g 約80円 10 f:id:hippy-hikky:20181009234502j:plain:w70
パチパチ 26g 約80円 10 f:id:hippy-hikky:20181009234542j:plain:w130
パイナップル(グアム) 22g 約284円 11 f:id:hippy-hikky:20181009234557j:plain:w130
ミルクキャラメル 22g 約80円 14 f:id:hippy-hikky:20181209215336j:plain:w130
チョコバナナ 22g 約80円 8 f:id:hippy-hikky:20181209215410j:plain:w130

製造工場については、 これまでと変わらずに、栃木県の小山工場と記載されています(パイナップルを除く)。

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分析アプローチ

重量の傾向の差異を調査するので、 上記の記事( 日本のチョコボールとチョコボール Hawaii(グアム) の傾向の差を調べる) と同じように、 平均重量をベイズ推定により予測して比較します。

平均重量のベイズ推定については、以下の記事で記載の方法を利用しています。

chocolate-ball.hatenablog.com

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重量傾向の予測結果

生のデータ分布

予測を行う前に、実際の重量の分布はどのようになっているのかを確認します。

f:id:hippy-hikky:20181209221040p:plain
味毎の重量分布。左が生の分布。右は仕様の重量をからの差分の分布。

味毎に重量はバラつきますが、 それ以上に仕様上の重量が異なるので、 重量の分布はそれぞれ異なります(上図左)。
そこで、同じ指標で比較を行うために、仕様上の重量からの差分(「実重量-仕様重量」、上図右)を使って評価をしていきます。 仕様に対してどれほど多く入っているのかの傾向を比較してみるということです。

平均重量のベイズ推定結果

ベイズ推定により、味毎の平均重量を予測した結果は下記の通りです。

f:id:hippy-hikky:20181209222203p:plain
平均重量の予測事後分布(仕様重量の差分)

この図を見ただけで、パイナップル、ミルクキャラメル、チョコバナナの3つが他の従来品と比較して 重量傾向が明らかに異なるということがわかります。 特に、ミルクキャラメル味は仕様重量と実際の差がほとんどありません。 また、チョコバナナ味はまだデータが少なくいために予測分布が広がってはいますが、 それでも従来品との差は明らかです。

各味の(正味重量-仕様)の分布の90%信用区間と期待値を以下の表に示します。

信用区間下限 (正味重量-仕様)の期待値 信用区間上限
ピーナツ 1.46 1.50 1.54
いちご 1.47 1.62 1.76
甘酒 1.71 2.08 2.44
パチパチ 1.32 1.67 2.03
パイナップル 0.53 0.66 0.79
ミルクキャラメル 0.11 0.32 0.51
チョコバナナ 0.22 0.68 1.13

最近製造されたピーナツ味も傾向が違っている?

前節の結果から、最近発売の2商品は、重量傾向が明らかに異なることがわかりました。 なぜこのような差異が生じたのかについてはいくつか理由が想像できます。

  • ①仕様重量に対してマージンを小さくするように方針が変わった
  • ②ミルクキャラメル味とチョコバナナ味の製造ラインが従来製品と異なる

ざっと二つ仮説を出してみました。 仮説①が真であるならば、最近製造されたピーナツ味の重量傾向も変わっていて然るべきです。
ということで、確認してみましょう。

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ピーナツ味の重量分布。赤いバーが最近製造された製品。

素の重量傾向は上記の通りで、ほとんど差が見えません。 なお、チョコボールには製造日の記載が無いので、 賞味期限がミルクキャラメル味と同じ期間のものを「最近製造された製品」としています。

一応、重量の平均事後分布をベイズ推定したものを確認してみます。

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平均重量の予測事後分布

このように、事後分布はほぼ重なっており、 これらの期間には差異が見えないことを示しています。

ということで、仮説①は正しくなさそうであることがわかりました。 少なくとも、森永さん全社として、方針が変わったわけではなさそうです。

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まとめ

以上、各味の重量傾向についての分析を行いました。 その結果として、最近発売の商品は従来の商品と比較して、重量傾向が大きく異なるということがわかりました。

なぜ傾向が変わったのかについては、 最近製造されたピーナツ味から検討してみましたが、 まだまだはっきりした答えは見えてきません。 ピーナツ味は、そもそもピーナツ自体のバラつきを制御しきれないという問題があるので、 最近発売のイチゴ味等、工業的に製造できるものは傾向が変わっているのかもしれません。 これらは、今後の研究課題です。

データを眺めるって楽しいですね。 ということで、今後も調査を継続していきます。

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参考文献

  1. 統計学入門

    統計学入門 (基礎統計学?)

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    有名な統計学の入門書。かっちり書いてあるので、統計学を学ぶにはすごく良い。

  2. Pythonで体験するベイズ推論

    Pythonで体験するベイズ推論 PyMCによるMCMC入門

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    pythonのMCMCパッケージであるpymcの使い方を学ぶにはちょうどよい。 ただし、プログラムとして書くためのノウハウが主なので、理論的な部分はほとんど載っていない。 理論は上記の参考書などを読むと良い。

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