技術書典7参加記録(執筆&準備だけ)
【概要】
- 9/22開催の技術書典7にサークルとして初参加しました
- 本記事では、初参加のドタバタについてまとめていきます(日記みたいなもの)
【目次】
はじめに
技術書典というイベントが2019年9月22日に開催されました。 このイベントは、技術に関する同人誌の即売イベントです。
以前書いた記事の通り、当チョコボール統計研究所もサークル参加してきました。
筆者はこの手のイベントにサークル側で参加するのは初めてだったので、 無事に参加するまでのドタバタを(概ね)時系列でまとめておこうと思います。
参加のきっかけ
2019年6月某日(正確には覚えてない)、とある勉強会に参加していたのですが、 帰り際に「技術書典に出展しない?出ようよ!(強めに)」と誘われたことが直接のきっかけでした。
当ブログはチョコボールの計測や計測データで遊んでみた記事をちまちま書きながら1年半以上続けてきたわけですが、情報の再整理したいなと思っていたところでした。 初期に書いた記事が間違ってはいないものの記述に不満があったので。
という背景があり、本として体系化すれば自分の知識も整理できるし、記事のアップデートもやりやすいかなくらいの軽い気持ちで応募したのでした(応募は締め切り数日前)。
当選!
そんなこんなで応募したわけですが、7/10、当落の発表結果。
責任持って走り切ろうということだけ決めました。(この時点ではどんだけ大変か全然わかってなかった)
何を書くか
書く内容についてはほとんど悩まなかったです。
どのネタを入れるべきかの取捨選択に少し悩みましたが、エンゼルの出現確率推定について2タイプのモデルを扱うことに決めました。
他にも階層モデルを扱うことも入れたかったんですが、時間も限られているので今回は省きました。
ネタの選定理由は以下の3つです。
- わかりやすい
- ネタに一貫性があると読みやすいですよね
- 段階的にモデルを複雑化できる
- ディリクレ分布を描きたかった
- 多項分布やディリクレ分布って可視化するコードがあまり見当たらなかったので紹介できるといいなと思いまして
- 書きたいことを書くのが一番ですよね
(この時点で7月最終週)
執筆
書くネタも決まったので執筆開始です。
でも、この時点ですでに7月がほぼ終わっている状態なわけです。 私は本を書いた経験が無かったのでこの時はまだ呑気に構えていました。だってまだ1ヶ月以上あるし。
原稿の執筆環境(7月末〜)
で、何からどうやって書いたら良いのか皆目検討がつかない状態です。文章のレビューの容易さや使い慣れていると言うことでGoogleDocで文章を書き始めました。ある程度できた段階で、同僚にレビューしてもらったりして、どんどん書き進めます。
私は、最初に目次(章構成)をざっくりと決めてから、具体的な部分(今回はエンゼルの推定の章)を書き始めます。前書きとかいきなり書くの難しいですからね。ほぼ確定しているところからどんどん埋めていく感じで書き進めると書きやすいんじゃないかなと思います。
が、お盆を過ぎても書き上がらないわけですよ。 ようやく図表も含めて一通り埋まったのが8/27です(もう8月が終わっちゃう!)。
整形しよう(8/30くらい〜)
「印刷所に持っていける形式のpdf」という概念を初めて知りました(もうこの時点で9月です!)。 整形には「Re:VIEW」を使うことにしました。運営さんが推薦していますし。わからないときは詳しい人がオススメしているものを使うのが一番です。
が、初めて使うツールですからすんなり書き始められるわけもなく、、、
・記法を覚えるのが辛い
texとも違うし、markdownでもないので、公式ドキュメントを眺めたり、チートシートを参照したり。
emacsのreview-modeがよかった。(僕は基本emacsしか使わないもので)
・数式が2行にならない
ググってもよくわからず、Twitterで嘆いたところ、Re:VIEWの開発者さんから教えていただきました!
//texequationは単純にequation*環境に展開しているだけなので、その中に入れられるものならなんでもいけますね(なので、alignはダメで、alignedはOK)。
— kmuto (@kmuto) September 5, 2019
まさに神!
・図が入るとコンパイルできない
これは解決できませんでした。
ひとしきり悩んだ後、「Dockerがあるじゃん」と閃いて検索したところ、以下の記事を見つけました。
Dockerを活用し、Re:VIEWによる技術書の執筆環境を構築する最短経路 for Mac - このすみろぐ
Dockerは神!!
表紙を作るぞ(9/8くらい〜)
当然、表紙の作り方もわからないんですね。
このあたりで、「トンボ」という言葉を知りました。
まずこちらを参考にして、要件を確認。
日光企画さんで配布しているフォーマットはPhotoshopの形式だったので、一月だけPhotoshopを購入しました。フォトプランを一月980円で契約したとの情報も見かけたんですが、フォトプランは単月の契約は対応してないようです(2019年9月現在)。
結局私は、「Photoshop - 単体プラン」(3,750円)を契約。
無料ツールを使う手もあったんですが、調べたりハマったりというコストを考えると、Photoshop買ったほうが早いという決断に至りました(だって時間がない!)。
Creative Cloudの価格とメンバーシッププラン | Adobe Creative Cloud
表紙のデザインについては、私は絵が描けないので写真を一面に載せるデザインに決めました。デザイン例をいくつか眺めたんですが、付け焼き刃ではダサい表紙になるイメージしかなかったんです。
で、できたのがこれ。
表紙については早い段階でデザイナーさんに依頼するのが良かったのかもしれないですね。
トラブル1
このあたりの作業やってる時期に地元の友達から結婚式の招待状が届いたんです(開封が正確かな)。日程を見ると技術書典ともろかぶりじゃないですか!
結婚式の日程をスケジュール帳に入れてなかったんですよねー
ということで、この時点で当日は私が参加できないことが確定(汗
当日は代役をお願いするとしてとにかく執筆を続けることにしました。
入稿
そんなこんなでもとりあえず原稿は仕上がりました。早期割引期間に間に合う9/8を仕上げの目標に設定していたんですが、これには間に合わなかった。
表紙込のベータ版が出来上がったのが9/12でした。
日光企画さん訪問(9/12)
とりあえず印刷できる体裁ができたつもりなので、この時点で不備がないかを確認するために、バックアップ印刷所の一つである「日光企画」さんを訪問しました。
Re:VIEWで作っていることもあって基本的にOKだったんですが、ノンブルを全ページにつける必要があると言われました。
ノンブルってなに?
ざっくりいうとページ番号のことと理解してますが良いですよね?
隠しノンブルを付ける(9/12〜)
印刷所で印刷してもらうためには、白紙を含めた全てのページに通し番号が必要です。印刷された紙の順序を正しく並べることができるので。
Re:VIEWにはそんな機能があるらしいですよと日光企画のお姉さんから教えてもらったので、ググりました。Githubのissueなんかも読んでいましたが、最終的には以下のページに書いてありました。
review-knowledge-ja.readthedocs.io
日光企画さん用の隠しノンブル設定を有効にするには、config.ymlで以下のようにパラメータを設定します。
texdocumentclass: ["review-jsbook", "media=print,paper=a5,hiddenfolio=nikko-pc,serial_pagination=true"]
これで綴じ位置ギリギリに通し番号が挿入されます。下図の左端中央にある1がそれです。
ポスター作成(9/13〜)
日光企画さんのサービスでA2サイズのポスターを無料で印刷してくれるとのことでした。
ポスター欲しかったので(A2はちょっと大きいなと思いましたが)作ることに。
時間が全然ないので、サークルカットをほぼそのまま利用することにしました。
そして無事入稿(9/17)
そんなこんなでバタバタしましたが、現金10万円を握りしめて日光企画さんに入稿に向かいます。
最終チェックしてもらったんですが、隠しノンブル位置の調整が必要だったり、Photoshopで作ったポスターデータのレイヤー統合忘れてたりで、その場で修正しました。 MacbookPro1台で全ての作業を完結させてたので、その場で即座に対応ができて助かったです。ポータブルな環境に全て収めておくというのはこういう時に重要ですね。
なお、隠しノンブルの位置については、Re:VIEWで用意してる日光企画さん用の設定(hiddenfolio=nikko-pc
)ではなく、hiddenfolio=default
にしてしまっていたことが原因でした(上記の設定を入れておけばOK)。
印刷部数については、オンデマンド印刷(安い方)で300部刷りました。
紙の設定については、お姉さんのおすすめに素直に従いました。はい。
300部とはだいぶ強気でしたが、元々別にも頒布するつもりだったので、かなり多めに印刷した自覚はあります。
トラブル2(9/17)
無事に入稿を追えてホッとしたのも束の間、代理で参加してくれることになってた同僚から「骨折、入院、手術」というニュースが!
技術書典当日は退院しているとはいえ、手術後なんでさすがに参加は無理となりました。
ここから別の人を探すことになったんですが、うちの社長が家族に話を付けてくれて出てくれることになりました。助かった。ホントに感謝!。
前日まで準備準備
DLカードの準備(9/19〜9/20)
DLカード、こちらもどうやって作ったら良いのかわからなかったんですが、次のように作りました。
texdocumentclass: ["review-jsbook", "media=ebook,paper=a5"]
印刷はもう時間がなかったので、ヨドバシカメラで名刺プリント用紙を買ってきて自分で印刷しました。
買ったのはこれ
エーワン 名刺 マルチカード 両面クリアエッジ 厚口 500枚分 51862
- 出版社/メーカー: エーワン(A-one)
- メディア: オフィス用品
- クリック: 2回
- この商品を含むブログを見る
300枚プリントできれば良かったのですが、深夜に作業したので紙詰まりとか逆に用紙入れちゃったりとかで100枚分以上ダメにしちゃったので、この枚数で正解。
小物の買い出し(9/20〜21)
展示用の小物をAmazonや百円ショップで買い揃えました。
ポスタースタンドと本立はAmazonで購入
他は技術書典のガイドを参考に適当に買い揃えました。
テーブルクロスは買わなかったんですが、当日の様子を見ると用意するべきでした。生身の机だとどうしても華やかさに欠けます。(次章の写真参照)
荷物を託す(9/21)
そして前日、同僚Bに荷物を託す!
そのあと一緒にゲーセンに流れていきました。
UFOキャッチャーに1000円も突っ込んだ上に成果なし
— yoichi_t (@yoichi_t) 2019年9月21日
辛い
当日を迎えて(9/22)
私は地元の友人の結婚式に参列(朝から東北の山奥までいきました)。
正直、参列中もどんな様子か気になってました(友人、ごめんよ)。
当日のブースはこんな感じだったらしい。両隣がちゃんとクロスを敷いているので、ショボさが目立っちゃいますね。でも、ポスターが目立ってたのは良かった。
結果報告
今回、チョコボール統計研究所では、300部を印刷しました。
日光企画のオンデマンド印刷で約7万円、その他諸々の経費を合わせて合計約10万円なので、100部は出て欲しいな、できれば150部くらい出れば嬉しいなと思っていました。
頒布部数
最終的な頒布結果は以下の通りです。目標としていた150部は超えることができました。
- 最終的なサークルチェック数
- 208
- 一週間前(入稿直前)くらいで100くらいでしたので、そこから2倍くらいに増えたことになります
- 頒布部数:188部
- 電子決済:79部
- 現金決済:109部
戦利品
昨日は行けなかったんだけど代わりに入手してもらった戦利品 #技術書典 pic.twitter.com/RkuIsiVlDa
— yoichi_t (@yoichi_t) 2019年9月23日
参加してくれた同僚に頼んでた本を入手してもらってました。感想は随時Twitterに流していきます。
全体のまとめ
イベント間近に徹夜でDLカード作ってる時とか結構しんどかったんですけど、自分で本を作るというのは楽しいですね。物理的に本という形で自分の作品が仕上がるのはいいもんです。
(電子媒体が当たり前な若い世代の方々はもしかすると感じないかもしれないと思ったり…)
昨日の荷物届いた。参加できなかったから製本された本を初めて手にとってちょっと感動 #技術書典 pic.twitter.com/uymNPJnavk
— yoichi_t (@yoichi_t) 2019年9月23日
ネタはまだあるので、次回も参加したいなと思います。
バタバタする中で助けてくれた同僚には非常に感謝です。
また、イベント主催の方々にも感謝です。
今後の提案
私は当日は参加できなかったので、現場の様子については何も語れません。 準備する中で一点だけこれがあると良かったなというものがあります。
- 簡単決済をサークル参加側も練習したい
- 簡単決済のキャンセルがアプリからできるというのは書かれていたんですが、サークル主以外のアカウントでもキャンセルできるのか不明で、当日までQR決済のオペレーションを練れなかったもので
お世話になった資料
- GitHub - kmuto/review: Re:VIEW is flexible document format/conversion system
- Re:VIEW公式
- review/format.ja.md at master · kmuto/review · GitHub
- Re:VIEWフォーマットガイド。これを穴があくほど読めば書ける。
- Re:VIEW ナレッジベース — Re:VIEW knowledge ドキュメント
- Re:VIEW knowledge。困った時、細かい調整が必要な時に読む。
- Dockerを活用し、Re:VIEWによる技術書の執筆環境を構築する最短経路 for Mac - このすみろぐ
- コンパイルエラーで途方に暮れていた時にDockerがあるじゃんと閃いてたどり着いたのがここ。
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